キョンくんブログ
娘たちに送る、大学卒業までの学習記録
閑話休題

早期英語成功者のことは嫌いでも、早期英語のことは嫌いにならないでください

皆様、こんにちは。キョンくんです。

本日はX上で盛り上がっている、早期英語の論争について取り上げたいと思います。

今回これを取り上げたのは、Xという文字数制限の有るSNSだからこそ、議論の前提が揃わず、不毛な争いをしているように見えるのがもったいなく思えたからです。岡目八目というか、どちらの意見も傾聴に値するのに、ただの論争で終わっているように思えて仕方ない。自分自身の頭を整理する意味でも、交通整理を行うべきだと考えました。

僕のこの記事が絶対的正解では無いにせよ、何故こういった論争が起きているのか、ということを理解する足がかりにしてもらえる内容にしています。そして最後に、皆様のお子様にとって良い早期英語教育を示唆していくつもりです。

当方のポジションを明確にしておくと、地方都市在住で中学受験とも各種予備校とも無縁の生活をしております。娘は年長と年中で、プリスクールに通わせる早期英語勢です。早期英語への期待値は低く、耳さえ良くなれば良い、というスタンスです。

JTC勤務しながら周囲を観察した結果として書きました。
チラ裏の落書きと思って読んでもらえると幸いです。

では行きます。

X上で起きている早期英語論争の整理

早期英語の議論については大きく分けて2つの対立軸が有りました。

①早期英語を行うか否か
②早期英語の期待値が高いか否か

です。そのうち、現在では1つ目の論争はほぼ見られなくなりました。それは、X上での早期教育アカウントの勢力が優勢となり、英語教育は焦らなくても良いというアカウントが姿を消しつつ有るからです。これは何故かと言うと、早期英語派の意見が「英語耳を作る」に集約されつつ有る状況なためです。

ネットで少し調べれば、各言語の周波数がどれくらいなのか、簡単に情報が出てきます。そして9歳を過ぎれば、聞き慣れた周波数帯以外については、聞き取るのが困難となります。英語と日本語では全く周波数帯が被らないため、10歳を過ぎて英語を学習することは著しく困難になっていくわけです。

よって後述しますが、個別の論点を除いて、1つ目の論争はかなり終結したと言って良いと思います。なので、この記事ではメインとして2つ目の論点を書いていくことといたします。

②の論争の詳細は何なのか

まずは、早期英語への期待値論争にどんなものが有るのか整理しておきます。以下のような主張が挙げられます。

1 小学生で英検一級を取得可能である
2 KA(帰国子女アカデミー)で英語力が爆発する
3 海外留学を行うにふさわしい英語力が付く
4 大学受験での労力が小さくなる

そして出口となる「国内&海外大受験」「JTC&在日外資で英語はマスト」がセットとなるのがお決まりです。こういったレベルが高い英語力を背景に大学受験の勝者となり、就職先でも上手くやれるようになる、というのが主張です。これが「早期英語期待値が高い派」の意見です。

では反対に「期待値が低い派(正しくは懐疑派かも)」はどのような論法となるのでしょうか。一言で言えば、上記のような1〜4は少数の異常値に過ぎないため、Xで書くのは適切ではない。現実的でリアルな主張が為されるべき、という立場を取っています。「期待値が高い派」の考えるレベルに到達する子供は決して多くないのだから、無力感に苛まれる家庭が増えると「期待値が低い派」は考えています。

誰もが子供の可能性は信じたいので、上記の「期待値が高い派」の論法に釣られたくなるし、反対に不安から「期待値が低い派」の人達にも迎合したくなるでしょう。結果、皆様は疲れてしまっているのではないでしょうか?【良いから最終結論だけくれよ】という気持ちだと推察します。

上の【】は僕の気持ちですが、誰も整理してくれないので、両者の論点を昇華して考えた内容が、この記事です。次の章では、早期英語の定義に移り、まず皆様が最初に考えるべき原点を提示します。子供のために、これをちゃんと考えてあげてください。

原点:早期英語を始めるときにまず考えるべきこと

巷で使われる「早期英語」ですが、一体定義は何なのでしょうか?最大公約数的に言うなら、「小学校低学年までに英語教育を施すこと」と言えると思います。前々章における周波数帯の問題が有るため、その問題に直面しないために若年層のうちに始める教育、というのは早期英語を子供に施す全家庭が持つ共通認識と考えます。

若年層のうちに注力するのであれば、成果が欲しくなると思います。ではここで皆様の心の声をしっかりと形にしてほしいと思います。僕が皆様に問いかけたいのは、以下の内容です。これが本記事の根幹です。

「我々は何故子供に早期英語を施すのか?」

これをバシッと答えてほしいと思います。通り一遍の回答は求めていませんので、そこは注意してください。「子供がグローバルに生きていく力を付けさせたいから」とかは要りません。皆様が持つドス黒く汚い感情で考えてほしいのです。と言われても困ると思うので、答えを準備しました。多くの場合は以下の4つに収斂されると偏見ながら考えています。

A 大学受験における苦い経験
B 社会人における苦い経験
C 受験、社会人での良い経験
D 自分(子供)がこれまでに得たチャンスを活かしたい
E 小学校で英検1級かつ御三家合格させて気持ちよくなりたい

この、何故早期英語を施すのかをしっかりと考え抜けば、上記「早期英語への期待値高いvs低い」論争に対しての答えを自分の中に落とし込むことが可能となります。自分はどれに当たるのか、それを明確にしてから次の章に行ってもらえればと思います。もちろん複数(AとB両方が当てはまる等)が重なる場合も有ると思いますので、その際は以下の解説を読んで組み合わせて考えてみてください。次の章からは皆様への処方箋となります。

見て分かる通り、最初の2つはコンプレックス目線。後の2つは志目線です。なお、A〜Dのどれであろうが、子供がモチベーション高く「自発的に」英語を勉強しているなら、とやかく言いませんし、この記事もここで閉じても良いと思います。これからもXを楽しんでください。

先に結論を申し上げると、A or Bの背景から子供に早期英語を施す方は期待値を低く持つべきです。Cはあいのこ、Dは高く持って頑張れ、となります。

では解説と処方箋に入ります。

A 大学受験における苦い経験

さて、このコンプレックスを持って早期英語教育に投資している方に伝えます。期待値が高い派の意見に耳を貸しすぎないほうが良いでしょう。コンプレックスをスタートにした時点で海外大進学はあまり考えていないでしょうから、親御さんは国内に目が向いていると推察します。そうなると例示ですが、英検1級を小学生で取る必要は全くありません。皆様が子供にどの大学に進んでほしいかは分かりませんが、英検準1級を高校3年で取るスピード感でも間に合うわけです。反対に小学生で取れた時、そこから英語力をキープし続ける作業を続けることが必要になります。

日本にいる限り、英語に使える時間は減っていくのに、英検1級を取ってしまったがため、その実力をキープすることに固執したりはしませんか?確実に忘れない日本の英語学習でも使う2級までを中学生初期に確保するスピード感では、何故ダメなのでしょうか?どうせ英語力キープにずっと時間が必要です。ならば、脳の発達に合わせて英語力を上げていけば十分ではないでしょうか?

結論、期待値が高い派の意見に踊らされないように、論争①の「英語耳を作る」作業を継続していれば、十分と考えます。もちろん、前章で書いた通り、本人の可能性を潰してはいけないので、本人にやる気があるなら止める必要もありませんが、他教科を忘れないようにしてあげてください。英語力だけ有るのは、次の章でハッキリ書きますが、アンバランスが過ぎるからです。

B 社会人における苦い経験

社会人で在日外資やJTCに入ると、日常的に英語を使う必要が出てきます。これをもって英語力がないとやっていけない、という考えを持ち、早期英語教育に邁進する家庭も多いと思います。これをもう少し解像度上げると「海外との議論をする際や、英文メールを読む際にイヤだなと思わずに英語に触れることができるようにしてあげたい」という気持ちと言い換えることが出来ます。

ですが、考えてみてください。社内で出世しているのは英語力が高い方とは限りませんよね?最も大事なのは「リーダーシップ」≒「責任感」≒「当事者意識」を持つ人では有りませんか?ここで論争①(一番最初の章を参照ください)が蘇るのですが、JTCや在日外資で戦うのであれば、英語は後付けでも何とでもなります。JTCの場合は情報が集積する本社に居るというだけで価値が高く海外拠点からも話を聞いてもらえます。悪く言いますが、我々がお上なのです(それを良いことに増長してはいけませんが)。そしてチーム内で成果を出す人間は英語力が秀でているからではなく、圧倒的にリーダーシップが有る人間です。さらにハッキリ言いますが、忖度できるリーダーが最強です。

加えて英語が昨今、ますます必要になっているのは言うまでも有りませんが、皆さんの会社の上司は何人(ナニジン)ですかね?お客さんは何人(ナニジン)ですかね?

在日外資であれば出先機関なので、本社へのレポーティングで英語は必須でしょうが、お客さんが日系企業or日本市場なので、日本語能力が必須です。JTCであれば、海外拠点のプレゼンスが上がっているとはいえ、社長や上司が日本人のケースがほとんどです。であれば、一番最初に大事なのは日本語力です。どれだけ惻隠の情(思いやり)を持てるかが、肝心なのです。

なお、政治力も出世には重要なファクターですが、リーダーシップがあれば政治力は勝手に付いてくる(周りを動かすには政治が必要で、政治に手を染めているのは確実です)ので、ここでは出世の第一条件には挙げませんでした。悪しからず。

結論、就職のためにToeicを高く維持する必要性については賛同しますが、英語力は内定取ってから高めていっても問題有りません。Aと同様に本人のやる気次第で負荷を掛けるのは賛成ですが、到達点を考えれば注力しすぎるよりも人間性を向上させる施策により多くの時間を配分したほうが得策に思います。期待値は高く持たず、親が楽しく英語をやれるレベルで一緒にやるのが一番だと思います。

C 受験、社会人での良い経験

このケースの方々をDと分けるために「自身の努力で成り上がった」と定義します。Dは親の早期英語や早期教育で良い経験を積んだ方をイメージしています。

Cの方々は子供が海外留学を目指す環境づくりまで目が行っていると思いますし、自身の経験をベースに教育できるでしょうから、A or Bとは異なり成功への道筋が付いていると考えます。また、A or Bの方々は自分のコンプレックス解消も目的となっているので、海外に対する選択肢は低くなりがちですが、Cの方々はもう少し英語の可能性を楽しんでおられると思います。

そうなりますと、英語教育へのモチベーションも高くなると思いますので、「期待値が高い派」の意見を聞きつつ改善も取り入れながら、家でもトレーニングを積んでいくことができるでしょう。上述の通り、自身の成功体験も踏まえて教育できるのは大きいです。

とはいえ、努力での成り上がりとなると、親御さん自身は「英語耳を作る」ことは出来なかったと思いますので、自分の経験を100%過信することもできないでしょう。子供の前提条件と親御さんの前提条件は異なるからです。そのアレンジができるのであれば、高い期待値を持つのも決して悪いとは思いません。子の英語力成長に限界を感じたら目標を下げる位で良いかと思います。

D 自分(子供)がこれまでに得たチャンスを活かしたい

ぼやっと書きましたが、これは親御さんがそもそも早期英語教育を受けていたり、日常的に英語を使っていたり、海外大学進学経験がある場合が想定されます。そういった方はそもそもこの記事読んでないでしょうし、普通に異常値レベルの英語力が有ると思いますので、そのまま頑張ってください(たぶん、頑張る必要もない、英語が日常のご家庭なのでしょうが笑)。

E 小学校で英検1級かつ御三家合格させて気持ちよくなりたい

こんな方いるかはわかりませんが、一度はお目にかかってみたいものです。圧倒的にヤバい人なので、行動観察してみたいですね。

書き手のケース

私の場合は圧倒的にA & Bです。英語は偏差値65そこそこ、JTCでも苦労しています。よって、娘たちは大学受験のタイミングで英語力に不安がなければ良い、というスタンスでいます。かつ、英語耳があればJTC勤務においての不安も無いので、最も大事な人間力勝負だけを考えられます。現在は非認知能力向上も意識した生活をしていて、勉強勉強ではなく、旅行したり楽しい思い出を多く作れることをメインで考えているところです。

まとめ

Xは楽しいですが、一歩引いた目線で眺めるのがバランス取れていて良いかと思います。子供の早期英語に期待値を高く持つのは結構なことですが、親御さんは何故早期英語をさせたいのか。ゴールはどこなのか。しっかりと見定めてほしいと思います。

ふわふわしたまま英検1級目指すのは、家庭が不幸になるだけだと思いますので。

以上です。最後までお読みいただき、ありがとうございました。